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ミッキーよりも、かこさとし!ご自宅の絵本2000冊

憧憬社史上最高レベル?


2019年7月6日,7日 静岡県藤枝市 藤枝市文化センター

執筆担当者:大塚智子

先週は静岡県藤枝市へ行ってまいりました。藤枝市での開催は9年ぶりです。 土曜日はご年配の方、日曜日はお子様連れのご家族というように、お客様の層がガラッと変わる二日間で、たくさんの素敵な出会いがありました。 少し長くなりますが、その中でもとびきりのエピソードを書かせていただきます。


日曜日。赤い花柄のスカートを履いたかわいらしい女の子とお母さんがいらっしゃいまいた。お二人は最前列でブックトークを聞いてくださって、その後も、展示の絵本をゆっくり眺めてしばらく滞在されました。女の子は6歳の年長さんですが、絵本を眺める姿は凛々しく、2~3年生の雰囲気でした。本好きの子は本当に雰囲気が大人っぽいです。 「おうちにたくさん絵本が並んでいるんじゃないですか?」

本好きの子に出会うと大抵私たちはこう聞きます。スマホやゲームが当たり前に届くこの時代、家庭内にある程度本のかたまりがないと、子どもを本好きにするのは難しいからです。

お母さんの答えは私たちの予想を遥かに上回りました。

「はい、2000冊くらいあります…」 憧憬社史上最高レベルの絵本好きに私たちは出会いました。


実はこのお母さん、ご自身の絵本好きが高じて静岡県の有名な絵本屋「百町森」さんで、絵本の講演会を開かれたこともあるという方でした。しかも、絵本に“ハマった”のは子育てを始めてから、ということで、きっと若いお母さんたちも身近でお手本にしやすいのではないかと思います。 娘さんが生まれ、弟くんが生まれ、二人の成長とともに増えていったという絵本。おうちの画像を見せていただきましたが、子どもたちの手が届く高さの本棚に並べられた絵本は、身近でふれやすく、まさに「日常の中に絵本がある」といった感じでした。

そんな環境で育った女の子は、本には作家や出版社があることを、すでにご存じのようで、似ている絵を見つけては「これとこれは同じ人?」とつぶやいたりしていました。

お母さんが「(この子は)ミッキーより、かこさとし!」とおっしゃって、私たちは大笑いしながらひそかに感動していました。こんな子が令和の時代にいるなんて… だるまちゃん・からすのシリーズ他で有名なかこさとしさんですが、昨年亡くなられた際、当時5歳の女の子が「なんでかこさん死んじゃったんだろうね…」と死を惜しんだそうです。そのエピソードを聞いた武田は、思わず涙目に。かこさんに聞かせてあげたかったな、かこさんが聞いたら嬉しかっただろうなと思ったら泣けてきたそうです(笑)


そんなお話しもしながらしばらく絵本をご覧いただいた後は、パパにも見てもらいたい!ということで、お父さん、弟くんも呼んで下さって、家族4人でまたブックトークにご参加いただきました。2回目でもじっと聞くお姉ちゃん、やはり大人でした。

写真は、後日お母さんが送ってくださった画像です。えほん展でご紹介した絵本の中に、手にペイントされた絵本があるのですが、子どもたちが、おうちにある絵本の絵を書いて、とお母さんにおねだりしたそうです。お母さんお上手!早速応用してくれているところも嬉しく、今すぐおうちに遊びにいきたかったです(笑)

絵本はお話の内容だけでなく、そのまま遊びにもつながっていくので、子どもたちの想像力は膨らみつづけます。何よりこんな子どもたちが一緒なら、お母さんお父さんも毎日楽しいはずですよね。でもこの子たちをこう育てたのは、2000冊の絵本、ではなく、一緒に絵本を選び、買い集め、読んで、眺めて、お話しして、ふれあって…そのすべてのご家族の時間の積み重ねなのです。それはとても豊かで幸せな時間であったはずです。 絵本はその「時間」と「空間」を届けます。

お母さんは子育てを始めてから絵本を買い始めた、とおっしゃっていました。初めての一冊がなんだったかも恥ずかしそうに教えてくださいました。きっかけはささやかです。

「がいこくえほん展」がみなさまのきっかけになれること、私たちはいつも願っています。

次回は神奈川県相模原市です。

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