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台風の中来て下さったお父さん 「持たない暮らし」


2019年9月7日,8日 神奈川県茅ヶ崎市 茅ヶ崎市民文化会館

執筆:大塚智子


先週は神奈川県茅ヶ崎市にて開催しました。茅ヶ崎市での開催は4年半ぶりです。 会館のお隣には広い公園があります。お散歩ついでのご家族連れや、館内の別のイベントから偶然立ち寄られた方も多く、二日間ともに賑わいました。しかし、みなさん休日のスケジュールがつまっていらっしゃる様子で、長時間滞在される方はいつもより少なかったかもしれません。


そんな中、日曜の11時のブックトークにいらっしゃった2歳の女の子とお母さんは、ブックトーク終了後もじっくりと絵本をみてくださいました。他のご家族がほとんど帰られた後もずっと残られて、お母さんがしゃがんで女の子と一緒に絵本をご覧になる姿が印象的でした。女の子はお話も聞きなれているようで、他に来ていた小学生の女の子に向けて読んだ絵本も、お母さんのリュックをつかみながら、じっと聞いてくれました。(写真1枚目) あっという間にお昼の時間がすぎ、お母さんは「お昼を食べてまた来ます」と言ってくださいました。 小さい子がいらっしゃる場合、いったん会場から離れたら“絵本モード”でなくなってしまうのは普通のこと。ましてや、午前中めいっぱいご覧になったなら尚更で、「また来ます」が叶わないお母さんはたくさんいらっしゃいます。 しかし、お二人はお昼を済まされて、午後のブックトークにまた来てくださいました。さっき聞いた本と何冊か重なるのに、2回目もしっかり聞いてくれた女の子。そしてその後も夕方近くまで滞在されました。さすがに女の子は途中で眠ってしまいましたが、本当にたくさん見てくださいました。 私たちの絵本をとても気に入ってくださったお母さんは、来られなかったご主人にも見せたい、ご主人は夕方仕事が終わるので、とのこと、もしよければいらしてください、とお別れしました。


この日、関東には台風が接近していました。天候は徐々に悪くなり、雨が降ったり止んだり。17時をすぎた頃にはパッタリとお客様が途切れてしまいました。 そんな18時すぎ、一人の男性が来場されました。貸し切りの緊張感の中、最初はお互い遠慮しながらでしたが、お話ししてみると先ほどのご家族のお父さんでした。奥様にうながされ、来てくださったようです。どんなに勧められても実際に来てくださる男性はなかなかいません。しかもお仕事終わりでお疲れの中、台風の日に… 私たちはとても嬉しくなり、じっくりとご主人に絵本をご紹介いたしました。そして、奥様と娘さんがどれだけ熱心に見てくださったかも。 2歳の子があれだけしっかりお話を聞けるのは、最近では稀なこと。それは早くからスマホやDVD、ゲームが届いてしまうからです。そしてそれを届けてしまうのは、大抵の場合お父さんなのです。

ご主人に「テレビゲームはされますか?」とお聞きすると「ゲーム…しませんね。テレビも持ってないです。テレビがあると垂れ流しになってしまうので」とのお答えが。色々と考えられて「持たない」選択をされているご家族だったのです。なるほど、だからこそ2歳のあの子があんなに上手に絵本を楽しめるのですね。

現代の暮らしの中で「持たない」選択は難しいかもしれません。ですが、本当はなくてもいいものをなるべく届けないことで、子どもたちの暮らしは豊かになることを、こういう出会いから気付かされます。

なんだかんだでご主人も1時間半ほど滞在され、絵本を楽しんでくださいました。 きっとおうちでお母さんも女の子も首を長くして待っていらっしゃったことでしょう。 最後は走って帰っていかれたお父さん。おうちに着いたら三人で絵本の話をしてくれるかな…と想像すると温かな気持ちになるのでした。


次回は千葉県市原市。あまり報道されていませんが、停電、断水など深刻な被害がいまだ続いているようです。熱中症等も心配です。いち早い復旧を祈っております。

 
 
 

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