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大地震と原発事故にあった街で


2019年8月3日,4日 福島県二本松市 二本松文化センター

執筆:武田朋彦


先週は福島県二本松市に行ってまいりました。あの震災の前年2010年3月以来です。当時はまずまずの賑わいで皆様に楽しんで頂けたのを覚えています。

二本松市は事故を起こした原発の北西部に位置し、避難指示が出なかった地域の中では、放射線量が高かったところでもあります。一時期は若い世代の人口の流出がニュースになっていました。また、当時の赤ちゃんや子どもたちはあまり外出できなかったはずで、DVDやゲームがたくさん届いたことは想像できます。本離れも進んでしまったかもしれません。子どもたちはどんな様子かな、「禎子の鶴」(フランス絵本 : 広島の被爆者佐々木禎子さんのお話)を読んでも大丈夫かなとか、色々考えながら、夏休みの渋滞の中、二本松市に向かいました。


さてさて、残念ながらお客様は非常に少なめ、子どもたち、子育て世代の来場はほとんどなく、夏休みであることや酷暑であることを考えても、とても寂しいえほん展となりました。 過疎や本離れは全国的なことで、今回の結果があの事故と関連があるのか、私たちには分かりません。いい加減なことは言えませんが、もしそうならばとても悲しいことです。

そんな中でも嬉しい出会いはあります。

土曜日のブックトークに、お婆ちゃんとお母さん、小さな男の子が来て下さいました。お母さんのお腹は大きくて、今月が予定日。実は若い親子は関東で暮らしていたそうですが、お爺ちゃんが亡くなってお婆ちゃんお一人になったので、ご家族みんなでふるさとに引っ越して来たんだそうです。人口流出のニュースを聞くなか、何だかうれしくなりました。 皆さんとても楽しそうに見て下さって、私たちの絵本もお届けできることになりました。お婆ちゃんが本好きで、お母さんは本で育ったそうです。そしてそれは男の子にも、おそらくお腹の赤ちゃんにも受け継がれていくのでしょう。

また別の回には、若いお母さんと小さな男の子が来場して下さいました。一年半前の郡山市のえほん展に来場され、その後私たちの絵本をお届けさせて頂いたご家庭です。当時は、まだ "赤ちゃん" だった男の子は、長いお話もじっと集中して聞ける、とても利発な男の子に成長されていました。お家にある本、ない本、色々手に取りながら、ブックトークのあとも長時間過ごして下さいました。お母さん曰く「こんな風に育ってます。とご報告したくてやって来ました。」とのこと。本当にうれしい事です。この男の子だけでなく、すべての子どもたちの成長に負けないように、私たちも頑張ろうと思いました。


日曜日、片付けを終えて、さあ帰ろうというところに、やや大きめの地震が起こりました。幸い被害はなく無事でしたが、スマートフォンや町のスピーカーからの緊急速報には、本当に驚かされました。福島県や宮城県では、まだまだこういうことが続いているのだな、と気づかされました。私たちには何も出来ませんが、想うことだけは忘れずにいたいです。


次回は一週お休みをいただきまして、8月17日,18日、場所は山梨県北杜市です。

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