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子どもの目線の高さ


2019年9月21日,22日 岩手県奥州市 奥州市文化会館(Zホール)

執筆:大塚智子


先週は岩手県奥州市でした。奥州市での開催は7年ぶり。遠方で頻繁には開催できない岩手県ですが、どの市を訪れても人々の温かさにふれられる素敵な地域です。あの宮澤賢治の故郷(花巻市)ということもあってか、本好きの方も多い印象で、奥州市も、前回開催した際はたいへん賑わい、多くのお客様に喜んでいただきました。

さて今回はどんなお客様が来てくださるだろうと、期待しながらいざ岩手県へ。

しかし、二日間ともにお客様の数は少なく本離れの波を感じずにはいられませんでした。 それでも来てくださる方にはとことん丁寧に絵本を紹介していきます。本に慣れている子も、そうでない子も楽しんでいただけるように。


今回奥州市で感じたのは、晩婚化が進む都市部に比べ、20代〜30代前半のお若いご夫婦が多いということ。そのぶん、お父さんお母さんも本に慣れておらず「お子さんにもどう見せていいかわからない。」といった方が多かったです。大きなテレビが普及し、スマホやタブレットが当たり前の時代。「本は大事」ということが頭ではわかっていても、少し意識しないと子どもたちは本に出会う機会もないまま育ってしまいます。ご来場くださった若い世代のほとんどが、普段は本にあまりふれていらっしゃらないとのことでした。「絵本は読みますか?」との問いに「保育園で読んでもらってます。」という答えもありました。

まずは、本の楽しさを知ってもらうこと。小さな赤ちゃんだって、その目線に合わせてしっかり語ってあげれば、ちゃんと反応してくれます。何より、お父さんお母さんが顔を近づけ同じ目線になってくれることで、子どもたちには安心感が届きます。

ほぼ貸し切り状態が続いた今回の展示会。そんな中でも長居してくださったご家族は、お子さんの目線の高さに「しゃがんで」絵本を見てくださる方ばかりでした。顔を近づけて一緒に楽しんでくださるお父さんお母さんの子は、やはりちゃんとお話を聞いてくれます。

読めないからこそ、大人も子どもも一緒に絵を眺めて過ごす時間。大人だって普段は眠っている想像力が膨らみます。ときには、絵の気づいたところを指差したり、会話も楽しんでいただきながら、「絵本って楽しいね」のきっかけになれればと願っています。


混み合うこともありますが、だいだいは穴場の「がいこくえほん展」。日に日に深まる秋ですが、ぜひ読書の秋を楽しんでください。みなさまのご来場をお待ちいたしております。

次回は愛知県岡崎市です。

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