平成最後の「がいこくえほん展」
2019年4月27日,28日 茨城県鹿嶋市 鹿嶋市勤労文化センター
執筆担当者:武田朋彦
今回は茨城県鹿嶋市にての開催でした。7年ぶりです。やはりGW10連休ということもありお客様は少なめ、少し寂しい絵本展でした。そんな中でも「7年前にも来たんです。」と言って下さるお客様がちらほら、中には、前々回10年以上前の開催で、弊社のお客様になって下さったご夫婦もいらっしゃって、うれしい再会もありました。
土曜日のブックトークのことです。4人の先生と10数人の幼児さんが集団で来場されました。お聞きすると、発達障害児のための施設の皆さんでした。前列2列に座っていただいて、他のお客様はその後ろになりました。「これ、なーんだ?」「ライオン!」といった、かけ合い参加型のブックトークはいつも以上の盛り上がりです。しかし物語の時間になると、立ち上がったり、後ろを向いてゴソゴソしたり、突然大声を上げたり・・・、“これはなかなか手強いな” と思いながら読み続けました。 感心したのは後ろにいる子供たち、おそらくこちらの声が届きにくい、なかなか大変な状況の中で、集中力を切らさず一生懸命聞いてくれます。普段から本をよく読んでいる子たちなのでしょう。やはり好奇心をもって聞こうとする子供の “聞く力、集中力” は、すごいのだなと思いました。
しかし、本当に感動したのはそこではありません。 なかなか落ち着けない子供たちが、一瞬だけ静かに集中した一冊がありました。全員ではありませんが、多くの子がとても強い目でこちらを見つめて聞いてくれます。それはフランスの絵本「禎子の鶴」。このfacebookでも何回かご紹介しましたが、広島の原爆で亡くなった佐々木禎子さんの実話を基にした本です。あまりにも深い内容に「大人向けですね。」と言われることが多い絵本です。 私たちは、そういう本こそが子供たちを捉えることを知っていますし、ずっとお伝えしてきました。しかし今回、あの状況から一生懸命聞き始めた子供たちの姿には、私自身が感動させられました。バラバラだった子供たちの心が、少しずつこちらに向き始め、何とも言えない “気” のようなものが集まってくる感じに身震いし、少し目頭が熱くなりました。 子供たちはみんな、大人以上に “感じる力、考える力” を持っていること、そして優れた絵本には、そういう “子供たち本来の力” を呼び覚ます力があることを、あらためて思い知らされました。
日本に戦争のなかった “平成” が終わります。“令和” がいい時代になるよう、たくさんの子供たちに、たくさんのいい絵本が届いて欲しいと思います。
次回はGW明け、5月11日、12日、新潟県加茂市です。
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