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お母さんたちの苦しみ

皆さんに気付いて欲しい、特に男性に。


2018年7月14日,15日 埼玉県越谷市 越谷市中央市民会館

執筆担当者:武田朋彦



久しぶりに武田が書きます。かなり長くなります。

今回は、埼玉県越谷市。約3年半振りの開催でしたが、3連休の上に酷暑が重なり、やや寂しい2日間となりました。お子さま連れの来場は数える程度でした。本好きの年配女性がポツポツと来て下さいましたが、その中には「文庫」を運営されている方や、出版関係の方などもおられて、沢山の楽しいお話をさせて頂きました。

そんな中、土曜日の午後、一組の親子が来場されました。まだお若いお母さんと3才の男の子、お二人とも今時の可愛らしい親子さんでした。 あいにく、会場内にはお二人だけ、男の子は居心地が悪いのか、すぐに帰ろう帰ろうと、ママの手を出口方向に引っ張ります。何とか楽しんで貰おうと、何冊かの本を読んであげましたが、見てくれる気配はありませんでした。 お母さんご自身は本好きとのこと、ゆっくり見たいと、本当はお子様を預けて来たかったのだけれども、預けられなかったということでした。 「仕方がない、本当はいけないんですけど...」とお母さんが取り出したのは・・・

スマホでした。動画サイトの子供向けのページを開いて、男の子に手渡します。男の子は、途端に大人しくなり、その場にしゃがみこんで動画に熱中しています。いえ、熱中しているのではありません。盛んにスクロールして、クリックして、各動画の刺激的な場面(光の渦や点滅)を、数秒ずつ、次から次へと渡り歩いているのです。(男の子は3才です。) その間、お母さんはこちらの本の説明を聞いて下さり、本の深みや大切さに、耳を傾け共感して下さいました。

自分自身のしていることの矛盾に苦しむ時間でした。そう短くはない時間、私たちとスマホが親子を引き離してしまっているのです。 お母さんも苦しんでいらっしゃるのがわかりました。「いけない」と思っていても、1対1の子育ての中で、ついつい頼ってしまったスマホ、気がつけばこうなってしまって、今はどうしようもない、とおっしゃってました。


私武田は、子供だけで遊びに出ても安全な時代、地域に生まれ育ちました。今ほど贅沢なおもちゃはありませんでしたが、遊びの材料がそこらじゅうに見つかる、野山と海がありました。また、少し離れたところから子供を見守っていてくれる、地域の大人たちにも囲まれて、母子が1対1でいる時間は、今よりも圧倒的に少なかったように思います。 私達年配者が、今の若い方たちの子育てを嘆いている声をよく聞きます。私も、つい言ってしまいます。しかし、私たちの母親の時代には、今のママたちのような苦しみは無かったのではないかと思います。

今回のようなお母さんと子供たちは、めずらしくありません。今の若いママや子供たちは、苦しみであることにも気づかないまま、苦しんでいます。 誰が悪いわけでもありません。時代と環境が変わっただけです。ITやゲームが悪い訳でもありません。事実、この文章はスマホで書いて、SNSで発信しています。しかし、現代のライフスタイルを、何も気付かずに、気付いていても無抵抗に受け入れてしまうことには戸惑いを覚えます。


絵本展で出会って来た方々が、多くのことを教えて下さいました。素敵なご家族が、このfacebookには沢山登場します。本屋の贔屓目かもしれませんが、本好きの子供たちほど、世の中の面白いことに気付くのが得意な子が多いように感じます。" 本を読む "という子の方が、ママの負担が圧倒的に少ないようにも感じます。 また、私達の絵本展に長時間滞在され、深く賛同してくださる方に、ITやゲームソフトの開発者というお父さんが非常に多いこともお伝えしたいです。そういった方たちほど、ご自身の子育てでは、ITやゲームを制限していらっしゃることも...。


絵本展では、絵本を楽しんでいただくことが第一ですが、私たちが見て感じて来たこともお伝えしています。ブックトークでは、楽しい本はもちろん、幼児を含む子供たちが、一番集中して睨み付けるように聞く本が、かなり高度な社会問題を扱ったものであることなど、驚いて頂くことばかりです。

まだ、現代の生活に捕まってしまう前の赤ちゃんたちのお母さん、お父さん、もし捕まってしまっていても、大人が諦めない限り、子供たちは "本が大好き" です。 最初に動くのは大人です。是非、お母さん、お父さん、子供たちを連れて、がいこくえほん展にご来場下さい。


次回は一週お休みいただきまして、7月28日,29日、場所は山梨県韮崎市です。

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